研究紹介

伊藤 武彦 教授

1995年にインフルエンザ菌のゲノムが解読されて以来、ヒトゲノムに代表される様々な生物のゲノムが今では明らかにされており、我々は容易に手に入れることが可能になっています。
「生命の設計図」であるゲノムの解読は、コードされた遺伝子の全容を明らかにするなど様々な情報をもたらしてくれます。
しかし、ゲノム中に埋め込まれた情報の中で明らかにされているものは、ほんの一部でしかありません。
私達の研究室では、ゲノム情報と非常に相性がよいバイオインフォマティクス技術を駆使することによってゲノム情報を基盤とし、生物学の発展に寄与すべく様々な研究を行っています。

1. 新型シークエンサを用いたゲノム解析

非常に大量のデータが短期間で得られる新型シークエンサを用いて、情報解析基盤技術の研究開発から生物学的知見の発見まで幅広い研究を行っています。

2. 真核ゲノム情報の解析

ヒト等高等真核生物のゲノムに埋め込まれた情報を、様々な実験から得られたデータから明らかにするための情報解析研究を幅広く行っています。


小寺 正明 講師

近年の生命科学研究では、生体のもつあらゆる分子情報を網羅的に計測して分析するオミックス研究が注目されており、この膨大なオミックスデータから生物学的知見を発見するための情報学的手法の開発が進んでいます。しかし、遺伝子系オミックス(ゲノミクス、トランスクリプトミクス、プロテオミクス)と化合物系オミックス(メタボロミクス、グリコミクス)という二種類のオミックスを連携させる研究はまだチャレンジングな課題として残されています。

私達は、ゲノム情報学と化学情報学を融合したケミカルバイオインフォマティクス研究により、以下のテーマを中心に、遺伝子系オミックスと化合物系オミックスを結びつける研究を行っています。

1. 昆虫・植物間軍拡競争の分子機構

植物は昆虫などによる食害を防ぐため、様々な毒(防御物質)を生合成し、昆虫はそれぞれ独自の対抗手段を編み出してきました。私たちは昆虫による対抗手段を担う分子として、シトクロムP450やグリコシルトランスフェラーゼ、ミロシナーゼなど様々な解毒酵素の進化を昆虫の遺伝情報から読み解きます。

2. 遺伝情報と化学情報の統合解析

植物は昆虫による食害から身を守るための毒(防御物質)など様々な物質を合成し、その中には医薬品として用いることのできる有用な物質も含まれます。私たちは、植物の遺伝情報と化学情報の間の関係を解析し統合することで、植物性物質(ファイトケミカル)の合成経路(代謝)を予測可能にし、有用物質生産や機能性農作物栽培などに応用します。

3. 食草選択の進化解析

昆虫・植物間軍拡競争の結果、ある種の草食昆虫は特定の植物種しか食べないという「食草選択」が起こりました。私たちは、日本の全ての蝶とその食草の進化系統関係、およびその遺伝情報と化学情報を統合することで、食草選択の歴史の中で重要な役割を演じたキー・ファクターを発見し、生態系の保全や生物多様性の維持、環境問題解決のヒントを探ります。


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