生命科学科
1 目的 ・ 特色
20世紀後半は,生命の本質に迫る発見があいつぎ,この分野の研究が著しく進歩し,21世紀に入った現在も急速に発展を続けています。そのため現代は生命科学の時代とさえ言われています。この進歩・発展の主な原因は,生命の根幹であるDNAとタンパク質の性質に基づき,ほとんど全ての生命現象の基本的記述が可能であることが明らかになってきたからです。生命科学科では,理学の立場に立って,複雑・多様な生命現象を分子レベルから個体レベルまで体系的かつ総合的に理解し,さらに大学院での教育・研究の基礎となるようにカリキュラムが組まれています。これらのカリキュラムでは,物理化学,有機化学,生物学などの基礎的な科目から,生化学,分子生物学,生物物理学,生物有機化学などの学際領域科目,および発生学,免疫学,生理学,遺伝学,進化学などのより専門的な個別科目を多数開講しています。また,これらの講義の理解を助け,各自が自分自身で考察する能力を高めるために,実習や演習もふんだんに組み込んであります。若い柔軟な頭脳と情熱を持った皆さんが,私たちと共に活気のある学科を築き上げてくれることを心から期待しています。


勉強すればするほど、生き物とは本当にうまく出来ていると実感できるはずです。
そのしくみや、どうしてそうなって来たかを研究・教育するのが生命科学科です。
- 教育
- 生命科学では、これまでに明らかにされた複雑で多様な生命現象を、分子のレベルから個体や集団のレベルまで広く十分に理解できるように、授業や実験が組まれています。1、2年次では基礎的な有機化学、生化学、物理化学、生物学などの科目を学習し、基礎的な実験技術を習得します。3年次では分子生物学、生物有機化学、生物物理学、分子発生学、生体情報学、免疫学、分子遺伝学、分子流化学、神経科学等の専門的科目を学び、生命科学の基本的実験技術を習得します。4年次では研究室に所属し、一流の研究者である先生や先輩の指導のもとで卒業研究を行います。
- 研究
- 生命科学は、20世紀後半の大変重要な発見をもとに著しく進歩し、21世紀における最も重要な学問分野の一つと言われています。本学科では、生命科学の多くの分野で毎年優れた研究成果をあげ、新しい発見を続けています。研究は分子レベルから個体・集団レベルまでにおよび、動物、植物、微生物を対象として、生体高分子の構造と研究、遺伝と情報伝達、発生と分化、がんと老化、進化と系統、生体エネルギー変換、脳科学などをテーマとしています。
- 主な就職先
- 学部卒業生の90%以上は大学院に進学しています。大学院生命理工学研究科には、分子生命科学、生体システム、生命情報の3つの専攻があります。卒業生は、大学や研究機関、さらに、医薬品メーカー、食品・化粧品関連企業、科学工業、情報関係など広い分野で活躍しています。
- [細胞の増殖と死のメカニズムを探る]
-
我々人間の体は 細胞から構成され、細胞の核の中にある遺伝子DNAの情報を に秩序を保って機能しています。しかし遺伝子DNAの変化などにより秩序が乱れるといろいろな病気になってしまいます。たとえば通常は必要に応じて増殖していた細胞が、コントロールがきかなくなって暴走的に増殖してしまうと「がん」細胞になります。また記憶のために重要な働きをしている神経細胞が死んでしまうと認知症になります。我々の研究室では細胞の増殖および細胞の死がどのようなメカニズムで起こるかを、遺伝子DNAや蛋白質などの分子のレベルで明らかにしようとしています。がん細胞の増殖や認知症を起こす神経細胞の死のメカニズムが分子レベルで明らかになれば、新しい治療薬の開発が期待できます。我々の研究室ではこれらの目標に向かって日々研究に励んでおり、社会に貢献したいと考えています。
2 学科の構成
本学科は、生命科学の幅広い分野にわたる15分野から構成されており、現在約30名の教員を擁しています。
教員の研究分野は下記のように多岐にわたり、出身学部も、理学部、工学部、医学部、農学部、薬学部、教養学部と多彩です。
生命科学科 教員一覧
| 分野名 | 教員 | 主な研究分野 | |
|---|---|---|---|
| 生体物性学 | 教授 | 一瀬 宏 (5822) |
分子神経生物学(モノアミンニューロンの分化・発達・老化の分子機構および病態との関連) |
| 准教授 | 林 宣弘 (5704) |
生物物理学、分子生物学、(疾患プロテオミクス、細胞膜ラフトの解析による細胞の動作メカニズムの解明、交代をプロトタイプとして用いる機能分子の開発、新規生体分子機能解析法の開発) | |
| 分子・細胞運動学 | 准教授 | 長田 俊哉 (5739) |
バイオナノサイエンス(細胞生物学、匂いやフェロモンの化学受容、神経細胞の発生と再生) |
| 機能分子化学 | 教授 | 湯浅 英哉 (5850) |
生物有機化学(生体関連機能を持つ分子デバイスの創製、生理活性オリゴ糖アナログの合成) |
| 准教授 | 大窪章寛
(5828) |
生物有機化学(転写およびスプライシング過程を制御・観察する新規薬剤やイメージング分子の開発) |
|
| 構造解析学 | 教授 | 村上 聡 (5748) |
蛋白質結晶学、構造生物学(膜輸送体の構造と機能、膜タンパク質の結晶化と構造解析および構造に基づく機能解析) |
| 生体反応学 | 教 授 | 有坂 文雄 (5713) |
生物化学、生物物理化学(バクテリオファージの分子集合機構、蛋白質の分子認識、蛋白質間相互作用) |
| 教 授 | 梶原 将 (5715) |
分子微生物学(酵母の脂質代謝と環境応答の分子機構、病原真菌の増殖や感染の分子機構、有用酵母による物質生産) | |
| 分子遺伝学 | 教授 | 関根 光雄 (5706) |
核酸有機化学(新機能人工核酸の創出、遺伝子診断法開発、アンチセンス核酸) |
| 准教授 | 清尾 康志 (5136) |
生物有機化学(DNA合成技術の開発、ゲノム診断技術の開発、核酸の分子認識) | |
| バイオ研究基盤支援総合センター | 講師 | 相澤 康則 (5787) |
ヒト細胞ゲノム科学(レトロポゾンやノンコーディング遺伝子の機能解析、ゲノムワイドな遺伝子機能解析の新規方法論の創成、ヒト生体幹細胞分化のメカニズム解析) |
| 資源科学研究所資源循環研究施設 | 教授 | 久掘 徹 (5234) (協力教員) |
植物生化学(生体膜とエネルギー変換系、光合成装置の活性調節と分子機構) |
| 分野名 | 教員 | 主な研究分野 | |
|---|---|---|---|
| 情報生物学 | 准教授 | 中村 信大 (5726) |
分子生物学・細胞生物学(細胞内トラフィック、ミトコンドリアの機能・形態制御) |
| 形態形成学 | 教授 | 岩﨑 博史 (5105) |
分子遺伝学、分子生物学(ゲノム情報の安定維持に関わる分子メカニズム・相同組換え/DNA修復の分子機構) |
| 分子進化学 | 講師 | 梶川 正樹 (5744) |
分子生物学・細胞生物学(転移因子とゲノム進化に関する研究) |
| 生体統御学 | 教授 | 本川 達雄 (2659) |
動物生理学・形態学(おもに棘皮動物の生物学) |
| 准教授 | 本郷 裕一 (2865) |
分子生態学(動物と微生物、または微生物間の共生の分子生態学・生理学・ゲノミクス、環境ゲノミクス) | |
| 細胞生物学 | 准教授 | 駒田 雅之 (5703) |
細胞生物学(蛋白質のユビキチン化と脱ユビキチン化による多様な細胞機能の調節機構) |
| 発生生物学 | 准教授 | 田中 幹子 (5722) |
発生生物学(脊椎動物のボディプランとその進化及び制御機構) |
| バイオ研究基盤支援総合センター | 教授 | 太田 啓之 (5736) |
植物生理学・植物生化学・植物分子生物学(葉緑体の形成、機能、進化、植物・藻類のゲノム情報を駆使したホルモン情報伝達機構解明、油脂生産制御) |
| 准教授 | 増田 真二 (5736) |
植物生理学・生物物理学(光合成生物の環境適応の分子機構、光受容体のシグナル伝達機構) | |
| 共通バイオフロンティア講座 | 准教授 | 鈴木 崇之 |
神経生物学・発生生物学(神経回路網形成とシナプス結合特異性の分子メカニズムの解明) |
| 資源化学研究所 | 教授 | 田中 寛 |
細胞生物学(葉緑体・ミトコンドリア-核相互作用、光合成機能統御、細胞周期)、植物分子生物学、微生物学(バクテリアの細胞統御機構) |
| フロンティア研究機構 | 特任准教授 | 中戸川 仁 |
分子細胞生物学・生化学(細胞内大規模分解・リサイクルシステムにおける膜新生および標的認識の分子メカニズム) |
| 情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所 |
連携教授 | 小林 武彦 |
分子遺伝学(細胞老化の分子機構をゲノムの維持の観点から解析する) |
| 分野名 | 教員 | 主な研究分野 | |
|---|---|---|---|
| 分子生命情報 | 准教授 | 立花 和則 (5724) |
動物学、分子生物学(卵成熟・受精・初期胚発生の生物学) |
| 高次生命情報 | 教授 | 工藤 明 (5718) |
細胞生物学(メカニカルストレスの制御機構、骨形成の制御機構)、発生生物学(魚類をモデルとした器官形成と再生) |
| 准教授 | 川上 厚志 (5717) |
発生遺伝学、神経発生学、生物分子医学(主に小型魚類をモデルとした器官の発生・維持・再生の制御機構) | |
| 知能情報 | 教授 | 伊藤 武彦 (5813) |
ゲノム情報学(主に高等真核生物を対象としたゲノム情報学)、バイオインフォマティクス(ゲノムからの遺伝子予測等の知識発見) |
カリキュラム
生命科学科 専門科目
| 1年次 | ||
| バイオフロンティアゼミ | 基礎生物学 | バイオクリエーティブデザインⅠ |
| 環境安全論 | コンピューターリテラシ | |
| 2年次 | ||
| 生体分子分析化学 | 物理化学第一 | バイオ情報学 |
| 生物化学第一 | 物理化学第二 | 生命科学基礎実験第一 |
| 生物化学第二 | 分子生物学第一 | 生命科学学基礎実験第二 |
| 生物学第一 | 分子生物学第二 | 生命理工学課題解決演習第一 |
| 生物学第二 | 有機化学第一 | 生命理工学課題解決演習第二 |
| 有機化学第二 | ||
| 3年次 | ||
| 細胞生物学 | 微生物科学 | 生命理工学特別講義 |
| 植物生理学 | 分子遺伝学 | 海外科学技術研究開発 |
| 生体高分子学 | 分子遺伝性化学 | 生命理工学実践型海外派遣1 |
| 生体情報学 | 分子進化学 | 生命理工学実践型海外派遣2 |
| 生物環境論 | 分子神経科学 | 生命理工学実践型海外派遣3 |
| 生物関連法規概論 | 分子生理学 | 生命科学インターンシップⅠ |
| 生物有機化学 | 分子生物学 | 生命科学インターンシップⅡ |
| 生命情報工学基礎 | バイオ統計学 | バイオクリエーティブデザインⅡ |
| 生命物理化学・データ解析学 | 生命科学L1ゼミ | バイオテクニカルプレゼンテーションⅠ |
| 生命倫理学概論 | 生命理工学実験法 | |
| 多様性生物学 | 生命科学総合実験第一 | バイオテクニカルプレゼンテーションⅡ |
| 発生生物学 | 生命科学総合実験第二 | |
| 4年次 | ||
| 企業社会論 | ナノバイオインテリジェンス | 生命科学L2ゼミ |
| 科学英語特別講義 | 生命理工学特別講義 | 学士論文研究 |
学習内容と卒業後の進路
1で述べた生命現象の広範囲なレベルでの理解を助けるために、「学部学習案内および教授要目」に示されているように、基礎的な科目、学際的科目、および専門的科目を順を追って学習できるよう工夫されています。また、学際的および専門的科目には、ほぼそれぞれの科目に対する実習が用意されています。
2年生では、主として基礎的科目および学際的科目を中心に専門教育での基礎学力を高めます。
3年生では、生命科学科の学生は、分子生命コース、生体機構コース、および生命情報コースのいずれかのコースに属し、各コースで特徴ある専門分野を学習することが出来ます。それらのコースはそれぞれ、大学院の分子生命科学専攻、生体システム専攻、生命情報専攻を母体としています。
卒業後の進路は、約9割は大学院に進学し、さらに専門的な高度な知識や技術の習得を目指しています。就職先は、学部・修士卒を含め、製造業(食品、医薬品、化粧品など)、通信・情報・コンピューター関連、商社、金融(銀行、証券、損保)、公務員、サービス業など広い分野にわたっています。卒業生は、学会、官界、産業界で活躍して高い評価を得ています。
※ このサイトは javascript を使用しています。