研究紹介

細菌や原生生物(単細胞真核生物)などの微生物は、地球生態系の基盤をなすとともに、食品・医薬品などの産業にも欠かせない存在です。
しかし、人工培養可能な微生物種は1%以下であり、大多数の種の生理・生態は未知のままで、産業応用も困難です。
そうした培養できない微生物の研究には、分子生物学のツールを利用した、分子生態学的アプローチが必要となります。
我々は、細菌一細胞や原生生物の一核からのゲノム(全遺伝情報)を解析する「シングルセル・ゲノミクス」などの技術を駆使して、培養を全く介さずに、微生物種の機能解明と遺伝子資源化に取り組んでいます。
研究対象は主にシロアリ腸内微生物群集です。
シロアリは木材の大害虫である一方、自然界では重要な分解者ですが、実は彼ら自身では木をあまり消化することができません。
腸内に共生する数種類の原生生物と数千種類もの細菌が、木片の分解や空気中の窒素を吸収してアミノ酸やビタミンを供給することで、シロアリの繁栄を支えています。
シロアリ腸内微生物群集は、基礎・応用科学の両面から長年に渡って注目され続けていますが、ほとんどの種がシロアリ腸内にのみ特異的に共生する培養不能系統群であるため、詳細な共生機構は未だ不明です。例えば、図に原生生物の核内に共生する2種(赤と緑)の細菌(左図)と、別の原生生物の細胞表面に付着共生する2種(赤と緑)の細菌(右図)を示しましたが、こうした微生物種が何をやっているのか、ほとんどわかっていません。

本郷研究室研究内容図

我々は、この複雑で多層的な共生機構を、生態学・進化学・ゲノム科学など様々な側面から研究し、解き明かしていきたいと考えています。


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