研究紹介

1.膜タンパク質の構造生物学

細胞膜は単に自己と非自己を隔てる障壁であるばかりでなく、物質や情報のやりとりの関所でもあり多くのタンパク質がそこに存在し、それらは生理的に重要な役割を果たしています。
私たちの研究室では膜タンパク質を中心に、生体内で重要な働きを持つタンパク質の立体構造解析を通してその機能を理解しようとする構造生物学を展開しています。
膜タンパク質の立体構造解析は技術的に非常に困難な分野であることが知られていますが、私たちは果敢に挑戦を続けています。

2.膜輸送体の立体構造と機能の解明

細胞膜を介した物質輸送には、膜輸送体と呼ばれる膜タンパク質が重要な働きを担っています。
細胞の生育に必要な物質を取り込んだり、不要なものを排出したりしています。
私たちは多剤排出トランスポーターとよばれる膜輸送体の結晶構造解析に世界で初めて成功しました(図)。
これらはあらゆる細胞が持つ細胞レベルでの最も基本的な生体防御機構となっていることが知られています。
これらは、がん細胞や病原性細菌の多剤耐性の原因であるばかりでなく、様々な細胞機能を担っていることが近年分かってきました。
私たちは膜輸送体の立体構造と分子機構、細胞機能における役割を解明することを目標に研究を進めています。

大腸菌多剤排出トランスポーターAcrB・薬剤複合体の結晶構造
大腸菌多剤排出トランスポーターAcrB・薬剤複合体の結晶構造
細胞膜に対して横方向から(左)と、上から(右)
S.Murakami et al., Nature 433,(2006)
S.Murakami et al., Nature 419,(2002)

3.X線結晶構造解析

これまで述べましたように私たちの研究は原子レベル解像度でのタンパク質の立体構造を通してその機能を理解しようとする姿勢です。
タンパク質、とりわけ膜タンパク質の立体構造解析ではⅩ線結晶構造解析が最も有力な方法のひとつですが、私たちは結晶構造解析が困難なこれらのターゲットに対して如何に攻めてゆくかという方法論の開発も行っています。


ページ上部へ