研究紹介

私たちの生命活動を支えている組織や細胞は、 どのようにして形作られて維持されているのだろうか?

その答えを分子レベルで説明できるようにするため、 私たちの研究室では受容体やチャネル分子などの細胞内情報伝達分子に注目して、 個々の生命現象での役割について明らかにする研究を行っています。

多細胞生物の恒常性維持には、組織間および細胞間のコミュニケーション(情報伝達)が重要な役割をもちます。生体情報を細胞内に伝達する受容体やチャネル分子などの異常は、臓器不全や奇形、がん化などの様々な疾患を引き起こすことが多いため、創薬研究の主要なターゲットとして注目されています。しかしながら、どのような情報を受け取り、どのような細胞応答を引き起こすのか明らかにされている分子はごく一部に限られています。私達の研究室では、未だ詳細な機能解明がなされていない情報伝達分子に焦点を当てて、分子生物学、細胞生物学、発生生物学的な手法を組み合わせて以下のような研究を行っています。

(1)ノックアウトマウスを用いた肺の生体防御を担う受容体分子の機能解明
肺には呼吸を介して進入してきた病原菌などの異物を除去する生体防御システム(自然免疫)が備わっています。最近のノックアウトマウスの解析から、Gタンパク質共役型受容体の一つであるIg-Heptaがこの生体防御に深く関わっていることが明らかとなりました。Ig-Heptaの発信するシグナルとその作用機構を明らかにすることで、肺における免疫調節のしくみとその破綻による病態発症のメカニズムの理解につなげることを目指しています。

(2)ゼブラフィッシュを用いた心筋細胞分化の仕組みの解明
ゼブラフィッシュの変異体(ftk)の解析から、心臓発生の初期に働く重要なチャネル様タンパク質(コネキシン)を同定しました。このコネキシン分子は心筋細胞の分化(筋原繊維の形成)に関連する遺伝子発現とそのシグナル伝達に関与することから、その詳細な分子メカニズムを明らかにすることで、心臓発生および心臓疾患、心臓再生のこれまでに知られていなかった仕組みが解明されることを期待しています。

(3)ミトコンドリアの形や機能をコントロールするユビキチン化の機能解析
ミトコンドリアは絶えず形や細胞内分布をダイナミックに変化させています。この形態変化はミトコンドリア機能(エネルギー産生、アポトーシスなど)と密接な関係があり、形態調節の異常が神経変性疾患の原因となることから、ミトコンドリア形態制御の分子機構の解明が待たれています。私たちは哺乳動物ミトコンドリアのユビキチン化制御分子(MARCH5とUSP30)を同定し、ユビキチン化がミトコンドリア形態・機能調節に働くことを見出しています。現在、これらの分子の作用機構の解析を進めています。


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