研究紹介

細胞を “観る・計る・明らかにする”

見えないものの可視化によるイノベーション


徳永 万喜洋 教授
分子を超解像と動きで観て働きを明らかにする

光学顕微鏡の分野に大きな革新が起こり、生命科学で新しい研究を可能にしています。

近年、超解像イメージング法が開発され、超解像観察による新しい研究が世界的な潮流となっています。これは、光学限界(光の波長の約半分)を超えた分解能で分子を可視化する方法です。私たちの研究室では、PALM(Photoactivated Localization Microscopy)法を、高速で鮮明に観察できる顕微鏡法を開拓して用いています。細胞中の分子を、30nm程度までの解像度で観察することができます。

また、生きた細胞の働きを1分子で観ます。オンリーワンの最先鋭顕微鏡を使い、従来の方法では「見えなかったものを観る」1分子イメージング領域の開拓により可能となりました。 刺激による細胞内シグナル活性化や、遺伝情報発現の、その場その瞬間を捉えます。

細胞中の分子情報を、数値として計ります。 分子イメージングと分子ナノ操作により、個々の分子動態と相互作用を定量します。 生きた細胞中で、分子数、相互作用の時間と強さ、時空間変化といった量を、時間・空間・多種分子(多色)の5次元情報として定量化できます。

こうして得られた定量情報とイメージング情報は、計算機で細胞をモデル化し、分子の動態と相互作用をシミュレーションする研究に結びついてゆきます。これは、生命機能を分子システムとして統合的に理解する新しい研究として発展しようとしています。

私たちは、細胞の核内の分子や構造体、中でもクロマチン(DNAとタンパク質の複合体)に、大きな焦点を当てて研究を進めています。この研究を通して、私たちの体を構成する数10兆個の細胞は、同じ遺伝子の配列(情報)からできているのに、何故違う細胞ができるのか?という、生命科学の大きな問題を解くことができると考えています。


十川 久美子 准教授
生細胞蛍光1分子イメージングによりシグナル伝達過程の解明を目指しています。

細胞膜上の受容体分子でとらえられた刺激は、シグナル伝達分子を介して、細胞核内へと伝えられ、目的タンパク質遺伝子の転写活性化・不活性化を引き起こします。 一連の過程に関与する分子は、時間的、空間的に制御され相互作用していると分かってきました。 生きた細胞の中で、分子1個1個の動きを直接観て、時空間制御を明らかにしたい。これが私達の研究の始まりです。

1分子イメージング、1分子解析の手法は、分子集団としての平均値でなく、個々の分子が機能する様子を生きた細胞内で可視化、定量解析を可能にします。 どんな分子が、何時、どこで、どのように機能しているかを明らかにします。

私たちの研究室では、細胞膜から核内に至るシグナル伝達の過程を蛍光1分子イメージングと定量解析により解明していくことを目的としています。 このために薄層斜光照明法(HILO)を始め新しい技術開発を行ってきました。 顕微鏡技術、解析技術のほかにも、マルチカラーの1分子イメージングを目指して、1分子レベルという極めて低発現量で2色同時発現する細胞腫の構築も進めています。 これらの技術を駆使して、細胞内の複数種シグナル分子の相互作用を可視化、定量化により明らかにしていきます。


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