研究紹介

研究室集合写真
2016年 研究室集合写真

すずかけ祭名物
すずかけ祭名物

2013年 研究室遠足
2016年 バーベキュー(秋)

バイオの原点 有機化学

分子を組み立てる出発点はここ、
そして分子を自在に操る物が先端をも制す!

新反応開発から生物活性化合物や医薬の合成へ

理工学の観点からのバイオ研究としては、自然にある物質や現象を単に観察・解析するだけでなく、それらを人工的に応用利用することが重要です。
我々のグループでは、バイオ研究の対象である有機分子を思いどおりに合成・変換する新しい合成手法の開発を行い、それらを利用して天然の有機化合物や人工の医薬などの生理活性化合物を実際に手に取ることを可能にしてきました。
特に最近では、新反応を基軸として、いかに短工程で効率よく合成するか、いかに安全な試薬を利用し、不要な廃棄物を軽減するかなど、持続可能社会に必須な「効率性」、「安全性」および「経済性」を重視した未来型反応開発を展開し、次世代の「ものづくり」に貢献するべく研究を推進しています。

エキサイティングな有機合成化学

有機合成反応の開発を行っていると、得てして想像を超える「非常識」な現象が起こります。
我々のグループでは、こういったエキサイティングな現象を見逃さないように注視し、見つけた現象を体系化することによって、新概念・新反応機構を開拓して斬新な分子変換反応を開発すること、それらを利用して新しい有機化合物を合成することを研究の基盤としています。
その「非常識」な現象をはじめに発見するのは、ベンチに向かって実験を行っている人(学生)です。
学部生、大学院生、学年を問わず、その現象を手にするチャンスは皆にあります。

生物活性化合物の合成

従来の生物活性化合物や医薬の合成は、既存の手法を組み合わせて行うため、効率的とは言えないケースもあり、問題点が山積しています。
我々のグループでは、上述の斬新な分子変換反応から生み出された新規な有機化合物を利用することにより、次世代にふさわしい効率性、経済性、および環境調和性を満足する生物活性化合物や医薬の合成にチャレンジしています。
更に、これまで合成が不可と考えられていた新規な有機化合物を実際に手にすることにより、新しい発想に基づく応用利用を可能にし、思いもよらぬ有機分子の新機能開拓へ展開できると期待しています。

〜高校生向け〜
「生物活性化合物や医薬を化学合成する」とは?

数百〜千程度の分子量から成る分子は、生物や細胞のスケールから観ると非常に小さいですが、たんぱく質・DNA等の「巨大な分子」に直接作用することにより、その巨大な分子の機能を発現させたり、失活させたり、調整することができます。
こういった分子を「生物活性化合物」と呼んでおり、人間は古くから、例えば薬草として摂取・利用してきました。
現在では生薬・抗生物質など医薬品として広く使われています。
これら分子の生産を植物、微生物、あるいは動物に頼っている場合には、そもそも微量しか得られなかったり、変異によって突然に手に入らなくなってしまったり、というリスクがありますので、生物活性化合物を化学によって、人工的につくること、つくれることが重要です。
さらに、人工的に生物活性化合物をつくることができれば、活性を高め、副作用を抑えるための、分子のかたちを改良した化合物(医薬)を創ることに繫がります。

研究内容

現在、我々のグループでは、以下の分子変換反応の開発に積極的に取り組んでおり、それらを利用した生物活性化合物や医薬合成を行なっています。

  • 薬剤分子の創製のための分子変換反応
    遷移金属触媒反応、多成分ワンポット反応とその利用
  • 低環境負荷・経済的な未来合成反応の開発
    廃棄物を出さない分子再構成反応の開発、安全・経済的な試薬利用への変換
  • バイオ分子の利用および変換手法の開発
    バイオ分子をキラル源とする触媒的不斉反応

以下には、最近の研究のトピックスを項目別に記載しています。

1.アミノ酸を利用する触媒的不斉合成法の開発

触媒的不斉合成法は、近年の有機化学の中心的課題の一つであり、光学活性な生物活性化合物の入手のためには必要不可欠な手法である。我々のグループでは、不斉源として安価で入手容易なアミノ酸を触媒に組み込むことにより、キラルなロジウム触媒の調製を可能にし、それを利用して触媒的不斉C–H結合活性化環化反応により、光学活性なヘテロ環を合成することができた(C–H結合活性化に関しては後述する)。

研究内容図1-1研究内容図1-2

2.医薬品に多用されるヘテロ環の効率的合成法の開発

ヘテロ環合成法は従来から数多く知られているが、新規かつ簡便な合成法の開発は現在でも活発に研究がなされている。我々のグループでは、ハロアセチレンに対して各種求核剤が効率良く求核付加することを見出し、続くパラジウム触媒によるC–H結合活性化環化反応により、種々のヘテロ環が合成できることを見出した。更に、この研究によって見出されたヘテロ環は、実際に生物活性化合物の骨格として利用されている。

研究内容図2

3.サスティナブルな触媒による新合成法の開発

鉄は「豊富・安価・無毒」の三拍子が揃った遷移金属であるにも拘わらず、その他の希少金属と比較すると、有機合成反応の開発および利用が十分とは言えなかった。我々のグループでは、鉄触媒存在下で種々の不飽和結合に対するグリニャール試薬の付加が選択的に進行することを見出し、その応用利用も行なった。

研究内容図3-1研究内容図3-2

4.効率的なワンポット合成の新手法の開発

ワンポット反応は、実験操作を簡略化すると同時に、用いる試薬や溶媒を減らすことができるなど様々な利点がある。我々のグループでは、種々のワンポット反応を開発しているが、一例として下記に示すように、ワンポットで連続的に 4回の炭素-炭素結合形成反応が進行し、一挙に3 成分をカップリングする多成分連結反応を見出した。この反応は、特異なシクロブテンユニットの構築にも有用である。

研究内容図4

5.C–H、Si–H結合等の活性化による新合成法の開発

反応不活性なC–H結合を切断して、新たなC–C結合や官能基形成を行うことを「C–H結合活性化反応」と言い、従来の有機化学の枠を超える未来型反応として、最近特に注目を集めている。我々のグループでは、上記項目1、2以外にも、鉄触媒による新規な過酸化物合成や、イットリウム触媒による環状ケイ素化合物合成に利用できることを見出した。

研究内容図5

6.バイオ分子変換の新手法の開発

核酸、ペプチド、ポリアミン、アミノ糖、アルカロイドなどバイオ分子のアミノ基を利用して、分子構造を局部的に改変できれば、生理活性の改変、分子タグの導入、医薬のための多様な誘導体の入手等々に幅広く貢献できる。我々のグループでは、生体分子に散見されるアミノ基を新たな発想で脱離基に変換し、これが接続する炭素バックボーン上に直接求核剤を接続させる新しいタイプの反応を見出した。

研究内容図6

◆我々のグループで開発した新反応により合成される生物活性化合物や医薬など

研究内容図7


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