開催報告 - バイオコン2007 & 教材で遊ぼう -
東工大バイオコンの成果報告を掲載しております。
次回開催時も、是非ご来場下さい。
≫最新の開催報告はこちらをご覧下さい。
※なお、優秀作品は
こちらにてご紹介しております。
バイオコン2007
バイオコン2007が1月13日(土)にすずかけ台キャンパスのすずかけホールで開催されました。

このコンテストは、教材開発をする学生のモチュベーション向上を目的に設定されていますが、同時に、特色GPの取組として行われている演習「バイオ創造設計」の公表会でもあります。今年度も約160名の学生が20グループに分かれて、自らテーマを設定して教材を開発しました。その成果を競うコンテストでは、各グループ15分の持ち時間を与えられ、始めの10分間で出来上がった教材・教具の紹介や、開発にあたっての考え方、課題、過程などを発表、残りの5分間で審査員や会場の参加者との質疑応答を行いました。午前9時30分に開始されたコンテストは午後5時30分まで続きました。どの作品も力作であり、さらに開発者たちの熱い思いが伝わる発表内容で、観衆も飽きることなく聴き入りました。審査員、先生方、参加者からの温かいコメントや励まし、時折の笑いもあって、会場は終始なごやかなムードでした。(学生たちの奮闘の様子は、3月刊行の広報誌「
Tech Tech ~てくてく~」第11号でも紹介する予定です。お楽しみに)
開発した教材のテーマは、脳や臓器の仕組み、免疫、進化、遺伝子、環境、生態など多岐にわたりました。以下が20組の学生たちが取り組んだ教材の作品名です。
班 | 作品名 | アドバイザー |
A | がんばれじんぞう君 -血液のそうじ屋さん- | 赤池敏宏 |
B | パズルで納得! 脳の構造 | 濱口幸久 |
C | 進化の歴史とそのシステム | 岡田典弘 |
D | THE 免疫 -体内戦争:ウィルスvs.免疫- | 大隅圭太 |
E | The game of Evolution -適応と進化、そして繁栄- | 一瀬 宏 |
F | 東工大カードゲームシリーズ第二弾 Immune World Card Game | 石川智久 |
G | においの探嗅 | 有坂文雄 |
H | 食べちゃいました。 | 本川達雄 |
I | Evolutive Simulation -進化再現- | 川上厚志 |
J | DNA鑑定が真実を暴く! | 湯浅英哉 |
K | 模型 de「Show」化 | 小林雄一 |
L | 生態系のバランスを考えよう | 片岡孝夫 |
M | あんちぼでぃ~げ~む。 | 太田啓之 |
N | クイズでわかる! DNAと進化 | 和田忠士 |
O | Virus Hunting 2007 | 熊坂 崇 |
P | しょうかしょうか | 田川陽一 |
Q | もこもこカルスのニンジン再生 | 蒲池利章 |
R | ゲーム「ビタミンの科学」 | 駒田雅之 |
S | 血液型ゲーム | 小畠英理 |
T | ガンもどき | 相澤康則 |
昨年行われた
バイオコン2006の最優秀作品が
カードゲームであったことに刺激されてか、今回は昨年以上にゲーム形式の作品が多かったようですが、模型やクイズ形式のテキストを制作したグループ、実験や創作ドラマをビデオ制作したグループもありました。
20組の発表が終わると審査。審査方法は昨年同様、審査員だけでなく参加者全員も加わるやり方で、参加者にはそれぞれ1票、学内・学外からお願いした8人の審査員には各10票の投票権が与えられました。壇上に20の枠が書かれたホワイトボードが置かれ、全員がそこに上がって、それぞれが青いマグネット1個を最も良かったと考えるグループの枠に置きます。その後、審査員が赤いマグネット10個をホワイトボードに置きました。審査員の10個は、評価によって、まとめて置かれる場合も分けて置かれる場合もあります。
審査員は、日本科学未来館の島田卓也氏、川崎市立南菅中学の後藤守重先生、私立世田谷学園の菅原淳一先生、株式会社リバネス代表取締役社長の丸 幸弘氏、ベネッセコーポレーション中学講座事業部の磯 彩子氏、内田洋行教育システム事業部企画部の松谷信治氏、東京工業大学ものつくり教育研究支援センター特任教授の梶内俊夫先生、生命理工学研究科・学部長 の広瀬茂久先生の8名で、広瀬先生が審査員長を務められました。

審査結果は以下の通り。
1位: Q班「もこもこカルスのニンジン再生」
2位: N班「クイズでわかる!DNAと進化」
3位: B班「パズルで納得! 脳の構造」
審査員奨励賞: K班「模型 de「Show」化」、G班「においの探嗅」
理工学振興会賞: L班「生態系のバランスを考えよう」
産学連携賞: T班「ガンもどき」
表彰式後にお願いした各審査員の方々からの講評では、「面白い発表だった」、「創ることを楽しんで欲しい」など学生たちの創造性や努力を讃える評価や、「なお一層の発展を」と彼らのこれからを期待する励ましの言葉をいただきました。
昨年のバイオコン開始以来、学生の開発した教材の内容には、1年生とは思えないようなバイオ理解のための工夫があります。もともと演習「バイオ創造設計」は、学生の中で眠っている創造力を目覚めさせることを目的として作られました。わかる教材を作るには、グループ内で協力し合ってテーマや表現方法を検討したり、自主的に専門知識を学習しあう必要があります。「教えることは学ぶこと」のコンセプトの下、創造性、主体性、専門知識の獲得、協調性やリーダーシップの育成等を願って設定したのがこの授業です。今回作成された教材は、昨年度よりさらにレベルアップした感がありました。本取組の有効性が改めて確認できた一日でした。
今年度は外部の方々に参加していただきたいと考え、コンテストを土曜に実施しました。大変うれしいことに、小中学生や小中学校教員の方々が来て下さいました。子どもたちは熱心にメモを取ったり発表学生のクイズに答えたりしていました。先生方からは、現場の方ならではの具体的な質問や指摘がありました。「難しくて教えにくいテーマが、理解しやすいようよく工夫されている」とか、「アイデアがバラエティに富み、創造力の豊富さに感動した」といった賞賛をいただいた反面、「教室で手作りできる教材を」とか、「小中学生にわかるレベルをもっと考えて」といったご指摘もいただきました。貴重なご意見は、早速来年度の教材作成に反映させたいと考えています。
現在、特色GPのウエブサイトも充実させつつあります。近隣の小中学校への広報活動を持続的に強めて、来年度はさらに多くの現場の先生方や小中学生に参加してもらい、学生の開発した教材を活用していただくチャンスを広げていきます。来年度は現在建設中のバイオ創造設計室が完成するので、学生の創作活動も一段とやりやすくなります。そこでは学生の作成した教材の展示や実演の機会も作り、教材創作活動だけでなく作成教材を用いた地域の小中学生との交流にも力を入れて、学生の創造力を多面的に育成できるようにします。
学生一人一人の成長はもとより、バイオコンテストもさらに進化・発展していきたいと思います。是非ご期待ください。
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