生命理工学院長より

御挨拶

生命理工学院長 梶原將教授

生命理工学院長  教授

梶原  将

21世紀は経済成長一辺倒の社会発展の時代から、人々が健康で豊かな持続的社会(well-being)の実現を目指す時代となり、人間や生き物を中心とした生命理工学の重要性が益々増大しています。また近年、地球温暖化、国連SDGs、感染症パンデミックなど、グローバルな社会課題に直面しており、これらの大規模な課題を解決する上でも生命理工学は不可欠な学問となっています。
 東京工業大学は、20世紀の科学技術発展を牽引してきた「理学部」と「工学部」に、21世紀に必須である「生命」という要素を十分に補うための新たな学部を加え、三位一体で世界最先端の教育研究を進めるべく、1990年に第3の学部、「生命理工学部」を設置、1992年に生命理工学研究科(大学院)を創設しました。そして、2016年の教育革新により学部と大学院を合体させた「生命理工学院」が誕生しました。本組織は既に5000名以上の卒業生を輩出しており、現在その多くが国内外の企業、研究所、大学、政府機関、国際機関等で活躍しています。
 生命理工学院では、学院内に最先端機器共同利用システムを構築し、様々な分野の研究開発を推進することで多様な知の価値を創造するとともに、国内外の大学や企業との共同研究を推進し、グローバルな社会課題を解決するための新興研究、異分野融合研究、産学連携研究開発などを積極的に展開しています。
 本学院では100人を超える所属教員のほか、科学技術創成研究院の化学生命科学研究所、細胞制御工学研究センター、国際先駆研究機構の地球生命研究所の教員なども加わり、専門教育を展開しております。
 学士課程では、生命理工学に関する広範な専門分野の知識を体系的に修得できるカリキュラムに加え、本学、東京医科歯科大学、一橋大学、東京外国語大学の四大学連合による複合領域コースも履修でき、学際領域の専門知識も習得できます。また、全学で多様な留学プログラムを提供しており、学士課程から留学を経験することができます。
 大学院の生命理工学コースでは、生命理工学分野の高度な専門分野の知識・技能の習得に加え、世界トップレベルの招聘研究者による特別講義などを組み合わせた科目により、グローバルな生命理工学専門人材を育成しています。ライフエンジニアリングコースは、機械系、電気電子系、情報通信系、情報工学系、材料系、応用化学系と共同運営する複合系コースであり、他の専門分野と融合した横断的な研究開発を推進できる人材を育成しています。(ライフエンジニアリングコースは令和6年度で学生募集を終了する予定です。)地球生命コースは人類が直面する地球規模課題や生命の起源や地球外生命といった課題に取り組む人材を育成しています。また、新産業創生や新規事業開拓に必要なアントレプレナーシップ教育も提供します。
 本年10月1日に東京工業大学は東京医科歯科大学と合併します。生命理工学院は医学部や歯学部などの医療系の教育研究と共通する専門領域も多いことなどから、新大学「東京科学大学」では本学院が中心的な役割を担う多数の理工系分野に医療系分野も含めた大学院複合系コースを来年4月から開講いたします。また学部でも理工系と医療系の複合領域コースなどを早期に設置することを検討しております。
 そして、これらの取組みにより、多様化する社会のニーズに対応できる柔軟な思考を持ち、豊富な知識を活用して、旺盛な好奇心と探求心で研究を行い、世界の人々のwell-beingを実現できるグローバルな人材の輩出を目指します。

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