生体システム専攻 バイオサイエンスシンポジウム

日程・会場・プログラム

日程・会場

日 時 : 平成26年2月18日(火) 13:00 ~ 17:30
会 場 : すずかけ台キャンパス B2棟4階 大会議室
主 催 : 東京工業大学 大学院生命理工学研究科 生体システム専攻
協 賛 : 卓越した大学院拠点形成支援補助金

プログラム

13:00 - 13:05
開会挨拶 : 専攻長 岩崎 博史
13:05 - 13:35
小椋 利彦 (東北大学 加齢医学研究所)
「生命現象を力学的に再解釈する。そして、生命を再構築する???」
13:35 - 14:05
倉永 英里奈 (理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター)
「上皮細胞の集団移動を可能にする細胞平面の運動と力学的考察」
14:05 - 14:20
休憩
14:20 - 14:50
永井 健治 (大阪大学 産業科学研究所、JSTさきがけ)
「少数性生物学概説および少数生体分子の可視化・操作技術の開発
14:50 - 15:20
吉田 知之 (富山大学大学院 医学薬学研究部(医学))
「シナプスオーガナイザーによる中枢シナプス形成の調節」
15:20 - 15:45
鈴木 崇之 (東京工業大学 大学院生命理工学研究科)
「ショウジョウバエ視神経シナプスの可塑的変化の分子メカニズム」
15:45 - 16:00
休憩
16:00 - 16:30
徳永 文稔 (群馬大学 生体調節研究所 分子細胞制御分野)
「直鎖状ユビキチン鎖生成を介したNF-kBシグナル制御と疾患」
16:30 - 17:00
望月 伸悦 (京都大学 大学院理学研究科)
「プラスチドから核へのレトログレードシグナル」
17:00 - 17:25
中戸川 仁 (東京工業大学 フロンティア研究機構)
「出芽酵母における選択的オートファジーの制御機構」
17:25 - 17:30
閉会挨拶 : 専攻長 岩崎 博史

概要

「生命現象を力学的に再解釈する。そして、生命を再構築する???」
小椋 利彦 (東北大学 加齢医学研究所)

概要

ヒトゲノムは32億塩基対からなるが、この情報量は6,400ビット、約800メガバイトに相当する。つまり、たった800メガバイトの情報で人間一人が誕生する。
では、少ない情報量で複雑な形態、高度な機能をもつ脳、多様な臓器や組織を作るロジックはなんだろうか?
私の研究室では、未解明のロジックを探すために形態形成を力学的に再解釈する試みを続けている。
また、組織、細胞を力学制御するための新しい技術開発も行っている。
これまでの研究から明らかになってきたことを紹介し、もしかすると新しい生命(超細胞)を再構築することに繋がるかもしれない研究データを交えながら、私の研究室の考え方を提示したい。

「上皮細胞の集団移動を可能にする細胞平面の運動と力学的考察」
倉永 英里奈 (理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター)

概要

集団細胞移動は、個体発生での原腸陥入や管形成、癌転移の過程など生命活動の様々な局面に関与している。
生体内で器官形成に関与する集団細胞移動の作動原理を解明する為に、ショウジョウバエ雄性生殖器の回転形成に注目した。
この過程では、生殖器を取り囲む上皮細胞が集団で円周状に移動する様子が観察される。
ライブイメージングや数理モデルから明らかになった、集団細胞移動を成し遂げる新たなメカニズムについて紹介したい。

「少数性生物学概説および少数生体分子の可視化・操作技術の開発」
永井 健治 (大阪大学 産業科学研究所、JSTさきがけ)

概要

皆さん、細胞内には生体分子は何個あると思いますか? 同じ種類のタンパク質は同じ機能を持つと思いますか? 教科書では分子の「数」は莫大で、個々の分子の「個性」は考慮されていない。
しかし実際は、例えば遺伝子は1細胞中にたった2個しか存在せず、その2個は明らかに違う個性を有している。
従来の生物学では莫大な数の遺伝子とタンパク質を反応させ、何が起きるのか調べているが、そこから得られた結果から、細胞内で何が起きているかを類推できるのだろうか? 分子が莫大数存在すると仮定していいのか? 個々のタンパク質に個性はないのか? 荒唐無稽な疑問をどんどん投げかけ、生命の根源に迫る、「少数性生物学」について皆さんと議論したい。

「シナプスオーガナイザーによる中枢シナプス形成の調節」
吉田 知之 (富山大学大学院 医学薬学研究部(医学))

概要

神経細胞間のシナプス形成の一端はシナプスオーガナイザーと呼ばれるシナプス前終末と後終末の分化誘導能を持つ細胞接着分子が担っている。
シナプスオーガナイザーが多様な中枢シナプス結合の特異性を保証する分子機構、新規シナプスオーガナイザーのスクリーニング法などについて最新の研究成果を紹介します。

「直鎖状ユビキチン鎖生成を介したNF-kBシグナル制御と疾患」
徳永 文稔 (群馬大学 生体調節研究所 分子細胞制御分野)

概要

NF-kB経路は、免疫制御、炎症応答、抗アポトーシス、リンパ球成熟に重要なシグナル伝達経路で、その破綻は種々の疾患を惹起する。
我々は、複合体型ユビキチンリガーゼ(LUBAC)がユビキチンのN末端Met1を介する新規直鎖状ポリユビキチン鎖を生成し、NF-kB経路の制御に必須であることを見出した。
本講演では、直鎖状ポリユビキチン鎖を中心に、NF-kB経路の制御機構と疾患との関連について紹介したい。

「プラスチドから核へのレトログレードシグナル」
望月 伸悦 (京都大学 大学院理学研究科)

概要

プラスチドやミトコンドリアは細胞内共生した祖先に由来するゲノム情報のごく一部を維持しているが、他の大部分は核ゲノムが持っている。
そこで、これらオルガネラは、必要なタンパク質を核ゲノムシステムから無駄なく取り出すため、レトログレード(「逆向き」の)シグナルを核に送ってその発現を調節している。
シロイヌナズナを用いたプラスチドレトログレードシグナルの研究を中心に、最近の話題を紹介したい。

「出芽酵母における選択的オートファジーの制御機構」
中戸川 仁 (東京工業大学 フロンティア研究機構)

概要

オートファジーとは、酵母からヒトまで、真核生物に共通して備わる細胞内の大規模な分解システムである。
凝集性タンパク質やダメージを受けたミトコンドリアなど 、細胞内に有害物が生じると、オートファジーのマシーナリーはこれらを特異的に認識し、分解に導く。
本シンポジウムでは、このような選択的オートファジーの制御機構について、私たちの出芽酵母を用いた最近の研究成果を紹介する。


このシンポジウムのご案内ポスター・概要を、PDFで提供しています。


お問い合せ

増田 真二 (内線:5737)
鈴木 崇之 (内線:5796)


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