分子生命科学専攻
STAFF
講師 : 相澤 康則
研究内容
- ヒトゲノムに氾濫している“がらくた”配列の生物学的意義の解明
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(図注釈) NC遺伝子専用マイクロアレイの結果。分化誘導後に多くのNC遺伝子が発現変動している。青と緑:NC遺伝子。赤:タンパク質遺伝子。 -
突然ですが、細胞機能を支える何万種類ものタンパク質をコードしている領域が、ヒトゲノム全体の何パーセントを占めるかご存じでしょうか?答えは非常に少なく、1~2%しかありません。では、ヒトゲノムに一番多く存在する遺伝子配列をご存じでしょうか?答えは、我々の研究室の研究対象である“がらくた(Junk)”配列です。
“がらくた”配列は、大きくわけて2種類あります。ひとつめは、主にトランスポゾン(転移配列)由来の配列で、自身のコピーをゲノムの至る所に挿入することによりヒト進化の過程でその数を増幅してきた配列です。これらのトランスポゾン由来配列はヒトゲノムの約45%を占めます。私達はその中のLINE1というトランスポゾン由来配列の機能を多角的に調べています。これまでに、LINE1が進化上、タンパク質遺伝子形成に寄与している例を見いだしています。
もうひとつの“がらくた”配列はノンコーディングRNA遺伝子(以下NC遺伝子)です。これはこの2,3年の間に注目され始めた遺伝子群であり、少なくともヒトゲノムの1/3もの領域(数万遺伝子座)を占めていると考えられています。NC遺伝子とは、「タンパク質をコードしていない遺伝子」であり、近似的には「転写産物であるRNA分子が何らかの生物学的機能を有している遺伝子」と定義されます。
このNC遺伝子の生物学的機能の探求とそれに続く機能メカニズムの解明には、半世紀以上もの間、タンパク質遺伝子研究を中心に発展してきた分子生物学の研究方法を必ずしもそのまま適応できません。そのため我々は、ゲノム科学、ケミカルバイオロジー、細胞生物学、分子生物学、システム生物学といった様々な手法や概念を取り入れながらNC遺伝子研究独自の研究戦略を構築しています。具体的にはヒト成体幹細胞の試験管内分化に関与するNC遺伝子の探索と細胞内機能の解析を進めています(図参照)。
最後に強調したいのは、ヒトという生物を理解するためには、ヒトゲノムを完全に理解することが必要であり、そのためにはヒトゲノムの大部分を占める“がらくた”配列から目をそらさずに、それらの真の機能を正面から探求するべきであるということです。我々は、このような比較的新しい分野の開拓を目指し、教員から学部4年生まで全ての研究室メンバーがフラットな人間関係を保ちながら、切磋琢磨しています。興味のある方は、お気軽に御連絡ください。 >>
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