パブリケーション

2014.10.6

Journal of Cell Biolology

2014年10月6日に細胞生物学雑誌「Journal of Cell Biolology」に、中戸川仁准教授等の論文「Hrr25 triggers selective autophagy–related pathways by phosphorylating receptor proteins」が掲載されました。

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狙って食べるタイプの細胞自食をコントロールする仕組みを解明

狙って食べるタイプの細胞自食をコントロールする仕組みを解明

概要

細胞の中では、必要なものを作るだけでなく、不要あるいは有害なものを分解、除去することも極めて重要です。オートファジー(自食作用)は、酵母からヒトまで、真核生物に共通して備わる細胞内の大規模な分解システムです。分解の標的は、オートファゴソームと呼ばれる膜の袋で隔離され、液胞やリソソームといった細胞内器官に運ばれ、分解されます。損傷したミトコンドリアや異常タンパク質など、特定の対象に狙いを定めて分解するタイプの“選択的”オートファジーの研究は、神経変性疾患など、ヒトの病気との直接的関係からも近年特に注目を集めています。分解標的の認識には、それぞれの標的に特異的な“受容体タンパク質”が中心的な役割を果たします。受容体タンパク質は標的を直接認識すると共に、“アダプタータンパク質”を介してオートファゴソーム形成装置を招集することで、オートファゴソームによる標的の隔離を誘導します(図)。標的を分解すべきときのみ分解すべく、この過程は厳密にコントロールされる必要があると考えられますが、その仕組みはこれまでよく判っていませんでした。私たちは、出芽酵母を用いて、Hrr25(カゼインキナーゼ1δ)というタンパク質リン酸化酵素が受容体タンパク質をリン酸化することで、受容体タンパク質とアダプタータンパク質との結合が強化され、標的認識のスイッチが“ON”になることを明らかにしました(図)。今回明らかとなったのは、液胞酵素会合体およびペルオキシソームの選択的オートファジーを制御する仕組みですが、本研究成果は、他の標的に対する選択的オートファジーの制御機構や他の生物種における選択的オートファジーの制御機構の理解にも大きく貢献することが期待されます。

発表雑誌

雑誌名:
Journal of Cell Biolology
論文タイトル:
Hrr25 triggers selective autophagy-related pathways by phosphorylating receptor proteins.
著者:
Tanaka C, Tan LJ, Mochida K, Kirisako H, Koizumi M, Asai E, Sakoh-Nakatogawa M, Ohsumi Y, Nakatogawa H.
DOI番号:
10.1083/jcb.201402128.


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